「小さなおべんとうが大きなおべんとうに」
ヨハネ6:8~11
主日礼拝
牧師 井ノ川 勝
2023年6月11日
1.①皆さんは、お弁当、大好きですか。お母さんが作ってくれたお弁当。お父さんが作ってくれたお弁当。とっても美味しいですね。お弁当の中のおかず、何が好きですか。卵焼き、ウィンナー、唐揚げ、チーズ、トマト、梅干し。どれも美味しいですね。
②タビタ君という男の子がいました。タビタ君はこの日をとても楽しみにしていました。「お母さん、今日のお弁当なあに」。「あなたの好きな大麦のパン5つと、魚2匹よ」。「お弁当、楽しみだな。今日はイエスさまと一緒に、ピクニックに行くんだ。イエスさま、今日はどんなお話をするのかな。楽しみだな」。
タビタ君はお弁当を持って、お父さん、お母さんと一緒に出かけました。大勢の人がイエスさまと一緒に、山に登りました。山の上に着くと、野原があり、皆、そこに座って、イエスさまのお話を聞きました。イエスさまのお話は、タビタの心をじわっと熱くしました。
2.①お昼になりました。イエスさまはお弟子さんのフィリポに尋ねました。
「もうお昼だね。お腹が空いたね。この人たちに何か食べさせたいね。どこでパンを買えばよいだろうか」。「イエスさま、山の上ですから、パン屋さんはありませんよ。それに、こんなに大勢の人に食べさせるには、たくさんのパンが必要ですよ」。
タビタ君はイエスさまの顔をじっと見ていました。「イエスさま、困った顔をされているな。皆にパンを食べさせたいのに、お弁当がないんだ。どうしようかな。ぼくが楽しみにしていたお弁当なんだけれども。でも、イエスさまに使ってもらおう」。
タビタ君は勇気を出して、近くにいたお弟子さんのアンデレに、お弁当を差し出しました。「ぼくのお弁当を使って下さい」。
アンデレはイエスさまに言いました。「イエスさま、ここに大麦のパン5つと、魚2匹のお弁当を持っている少年がいます。でも、こんなに大勢の人には、何の役にも立たないでしょう」。
②イエスさまは言われました。「皆を座らせなさい」。タビタ君は自分のお弁当を、イエスさまに差し出しました。「イエスさま、ぼくのお弁当を使って下さい」。「ぼうや、ありがとう」。イエスさまはタビタ君の頭を撫でました。
イエスさまはパンを取り、感謝の祈りを捧げました。「天の父よ、このパンをありがとうございます。どうか祝福して下さい」。イエスさまはパンを裂き、一人一人に分け与えました。野原に座っていた人は、何と男の人だけで5千人です。女の人、子どもたちを合わせれば、1万人、いや、一万5千人以上もいました。一人一人の手のひらに乗ったパンは、ほんの僅かな一切れです。皆、感謝して食べました。
イエスさまは魚を取り、感謝の祈りを捧げました。「天の父よ、この魚をありがとうございます。どうか祝福して下さい」。イエスさまは魚を裂き、一人一人に分け与えました。一人一人の手のひらに乗った魚は、ほんの僅かな一切れです。皆、感謝して食べました。
皆のお腹がいっぱいになりました。タビタ君が差し出したお弁当、5つのパンと2匹の魚が、イエスさまの手で祝福されて、皆で分かち合って食べた時、1万5千人以上の人々のお腹がいっぱいになりました。
3.①イエスさまが言われました。「少しも無駄にならないように、残ったパン屑を集めなさい」。パンを裂いた時、パンを食べた時、パン屑が野原に落ちました。そのパン屑を集めると、何と、12の籠いっぱいになりました。
人々は皆、びっくりしました。「イエスさまこそ、私たちが待っていた、神さまの言葉を語る預言者だ。いや、王さまだ」。
②幼稚園で、このお話をしました。そうた君は帰り道、お母さんの自転車の後ろに乗りました。「お母さん、なぞなぞだすね」。「なぞなぞ、どんななぞなぞかしら」。「分ければ分ける程、増えるものって、何だ」。「分ければ分ける程、増えるもの。何かしら。今日のおやつはあんパンだけれど、一つのあんパンを、二人のお兄ちゃんと分けたら、どんどん小さくなって行くよね。分ければ分ける程、増えるもの。不思議だね。何かしら。うーん、降参」。「お母さん、それはね。神さまの恵み、イエスさまの恵みだよ」。
4.①幼稚園のクリスマス、イエスさまのお誕生の劇をします。劇の最初に、園児皆で、聖書の御言葉を暗唱します。
「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである」。
「一人も滅びないで」。「少しも無駄にならないように」。同じ言葉です。イエスさまは、私たち一人一人の命が少しも無駄にならないように、一人も滅びないように、私たちのために、十字架でいのちを献げて下さった救い主となられたのです。
お祈りいたします。
「天の父よ、花の日・こどもの日の礼拝を、たくさんの子どもたち、お父さん、お母さん、お兄さん、お姉さん、教会の方々と一緒に捧げることができ、ありがとうございました。イエスさまの手の中で祝福された、いのちのパン、いのちの言葉を今、皆で分かち合っていただきました。イエスさまのいのちのパンで、私たちを生かして下さい。今日、礼拝に出席できなかった子どもたち、友だち、大人の方、一人一人をお守り下さい。
この祈り、私たちの主イエス・キリストの御名によって、御前にお捧げいたします。アーメン」。