
パイプオルガン
パイプオルガンについて
金沢教会 Organ Disposition
製 作
ケルン社(フランス)
A.Kern & Fils (France)
設 計
D.ケルン D.Kern
谷内江潤子 J.Yachie
デザイン
J.J.ゲネゴ J.J.Guenego
組 立
ケルン社 A.Kern & Fils
整 音
D.ケルン D.Kern
J.B.デートリッヒ JB.Dieterich
設置年
2003年7月
外形寸法 幅4000×奥行2050×高さ5555(mm)
座席・残響 200 seats 1.76 sec/ 1.30 sec
I.Hauptwerk C-g'''
II.Schwellwerk C-g'''
Bourdon 16'
Copel 8'
Principal 8'
Viola di Gambe 8'
Bourdon 8'
Traversflote 4'
Octav 4'
Nazard 2 2/3'
Superoctav 2'
Blockflote 2'
Mixtur IV
Tierce 1 3/5'
Cornet V
Siffloete 1'
Trompete 8' (B+D)
Oboe 8'
Tremulant
Pedal C-f'
Subbass 16'
Principal 8'
Floete 4'
Fagott 16'
Koppel Schwellwerk / Hauptwerk
Mechanical suspended action
Pedalkoppel I
20 stops 1288 pipes
Pedalkoppel II
a’=443 Hz (23度) 平行ペダル
Organ case ash (トネリコ)
II-I,I-P,II-P
わたしたちはこの度のパイプオルガン導入をもって、金沢教会の教会堂建築のすべての業を終えることができました。いま何よりもすべては神の恵みであったことを思い、感謝の念でいっぱいです。
21世紀に向けてのわたしたちの教会の礼拝と伝道の拠点としての教会堂建築のために、神は最もふさわしい建築家とオルガンビルダーをわたしたちにお与えくださいました。この礼拝堂とオルガンは一体となって、ただ神の栄光を讃えるために末永く用いられていくことでしょう。わたしたちはこの業に参加することがゆるされ、神の恵みを見ることができました。
オルガンの歴史は古く紀元前3世紀頃の水オルガン(水力で空気を送り込む)と呼ばれる楽器に由来するといわれています。しかしオルガンは何よりもキリスト教の礼拝式の中で発達してきました。礼拝の中で神の栄光を讃美する道具としての役割を果たしてきました。人間の声に一番近い音を出すことができ、神讃美の声を強力にバックアップしてくれます。またオルガンの果たしてきた文化史の意義も見逃すことはできません。わたしたちのオルガンもそのような香り高い信仰と文化を継承し、この日本で更にそれらが花開くことを願っています。今後このオルガンが何世代にもわたって用いられることにより、わたしたちの思いや願いを超えて、より大きな貢献をするであろうことを思うとき、わたしたちの胸はおどります。
神が与えてくださった、パイプを伝わって出てくる風の音が、神の言葉と共に、礼拝者の魂を揺さぶり、慰め、活力を与えてくれます。何よりも毎週この恵みにあずかることができることはまことに幸いです。このオルガンが真実に神礼拝に仕えるものになるようにと祈っています。
「神がその愛する御子によって与えてくださった輝かしい恵みを、わたしたちがたたえるためです。」
(エフェソの信徒への手紙1章6節)
ケルン氏よりメッセージ
親愛なる兄弟姉妹の皆様
本日皆様と共にこの式の恵みを分かち合うことができましたことを心から嬉しく思います。私共は、喜びの中にある時も、悲しみの中にある時も神様の栄光を讃美するためのオルガンをこの教会のために建造致しました。
このオルガンはアルザス地方のプロテスタント教会にとって、一つの理想であると、かのアルベルト・シュヴァイツァー博士が考えていた楽器の様式を持っています。すなわち二段の手鍵盤とペダルで構成されていて、そのうち一つの手鍵盤が音量の増減装置を備えています。
20のストップからなるこの楽器は、その使用が比較的制限されているものの数多くの音楽的な可能性を持ち、異なる時代のレパートリーの演奏ができるものです。皆様から私どもにいただきました大きな信頼を心から感謝するとともに、今回の建造期間中の歓迎と、滞在を助けていただいた心優しいお気遣いを心からありがとうを申し上げます。
最後にこのオルガンが神様の栄光を長きにわたってほめ称え、この教会の皆様の大きな喜びのために歌い続けるものであるようにと願っています。
ダニエル・ケルン
風の息を感じて
「音」によって魂がまるごと捕らえられる、そのような体験をしたのが、10年前、ザルツブルグ郊外にある教会でのケルン社が再生したオルガンとの出会いでした。しかし、私どもの教会に相応しいオルガンを考えるとき、いろいろな要素が問題になるのは当然のことです。
ビルダーが私どもの礼拝に関して明確な認識を持っていること。オルガン建造の伝統と技術があり、その品質の評価が高いこと。整音の技術が優れていること。経営が安定していることなど。またレジストレーションについては、これからの金沢教会の礼拝音楽を考えるために、限定された地域や時代の音楽だけではなく、いろいろな可能性を探ることができる楽器が望ましいのではないかと考えました。多くの候補の中から長老会はケルン社を選定しました。
ダニエル・ケルン氏と彼のスタッフは深い造詣と確かな手法、すばらしい芸術性をもってジルバーマンを思い出させる、少しバロックスタイルの、しかしロマン派音楽への接近も可能なこの美しいオルガンを造りました。豊かなオルカノプレノ、定評ある柔らかいフルート、そして2つのコルネ、3つのリード管、なんとすばらしい響きでしょう。全く個人的な一つの体験的に過ぎなかった出来事が、時間と空間を越え、また形を変えて、礼拝に集う方々と喜びを共有することができる、この現実に深い神様の恵みを思わざるを得ません。
礼拝を豊かに、それがただ一つの願いでした。長老会、教会員一人ひとりの様々な議論と熱心な祈りがありました。また香山壽夫先生をはじめとする建築、音響の専門家、知識や経験を分けてくれたヨーロッパや国内のオルガニスト、最後に苦労して荷を運んだ人たちに至るまで、大きなあるいは小さな積み重ねがなければこのオルガンはここに存在しえなかったのです。
オルガンは肺を持ち、唇で歌い、生きて呼吸しています。わたしたちも呼吸しなければ、生きることはできません。神様の深い慰めに満ちた確かなみ言葉をお腹の底まで吸って、豊かな讃美の息を吐きましょう。聖霊に満たされて、ただ神にのみ栄光と……。
オルガン設置委員・オルガニスト 谷内江潤子