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2023年11月29日

「ヨハネの黙示録を黙想する12~仲間の僕である者たちの数が満ちるまで、なおしばらく静かに待つように~」

ヨハネの黙示録6章1~17節

牧師  井ノ川勝

1.見よ、白い馬が現れ、乗っている者は、弓を持っていた

(1)ヨハネの黙示録を黙想する時に大切なことは、主の日の礼拝で見た天上の幻、聴いた御言葉であることです。神を礼拝する信仰を抜きにして、ヨハネ黙示録を理解することは出来ません。主の日の朝、流刑されたパトモスの島で伝道者ヨハネが僅かな者と礼拝していた時に、甦られたキリストが現れ、天上の幻を見させていただいた。地上ではローマ帝国の厳しい迫害が行われている。そのような中で、地上の礼拝を支えている天上の礼拝を仰ぎ見ました。その中心の玉座には、私たちの神、主と、小羊キリストが座しておられる。その周りで、4つの生き物(4福音書記者)と24名の長老、万の数万倍、千の数千倍の天使が礼拝をしながら大合唱をしている。玉座に座っておられる私たちの神、主の右の手には巻物があった。表にも裏にも字が書かれていたが、7つの封印で封じられていた。歴史に何が起こるのか。歴史はどこへ向かっているのか。歴史の終末はどうなるのか。そのことが記されている。その封印された巻物を開くことの出来るお方ただ一人。ユダ族から出た獅子、ダビデのひこばえ、屠られたような小羊キリストです。6章~8章は封印された巻物が小羊キリストにより、一つずつ開かれて行きます。歴史を紐解いて行きます。

                                                                              

(2)6章はこういう言葉から始まります。「また、わたしが見ていると、小羊が7つの封印の一つを開いた。すると、4つの生き物の一つが、雷のような声で『出て来い』と言うのを、わたしは聞いた。そして見ていると、見よ、白い馬が現れ、乗っている者は、弓を持っていた。彼は冠を与えられ、勝利の上に更に勝利を得ようと出て行った」。第1の封印から第4の封印を開くと、白い馬、赤い馬、黒い馬、青白い馬に乗った騎士が現れます。イメーイ豊かな想像力の言葉により、現実を見つめ、紐解いて行きます。このような描写はゼカリヤ書と響き合っています。ゼカリヤ書も預言者ゼカリヤが主によって8つの幻を見たものです。1章8~10節「その夜、わたしは見た。ひとりの人が赤毛の馬に乗って、谷底のミルトスの林の中に立っているではないか。その後ろには、赤毛の馬、栗毛の馬、白い馬がいた」。6章1~3節「わたしが再び目を留めて見ると、4両の戦車が二つの山の間から出て来た。その山は青銅の山であった。最初の戦車には赤毛の馬数頭、2番目の戦車には黒い馬数頭、3番目の戦車には白い馬数頭、4番目の戦車にはまだらの強い馬数頭がつけられていた」。

 黙示録が語る白い馬に乗った騎士とは誰なのか。19章11節以下で「白い馬に乗った騎士」「白馬の騎手」が登場します。主キリストです。それ故、6章の最初に登場する白い馬に乗った騎士も、主キリストを現すと理解する方もいます。しかし、この後、登場します赤い馬の騎士、黒い馬の騎士、青白い馬の騎士は、いずれも地上に災いをもたらしています。その先駆けとして白い馬の騎士が登場します。無敵のローマ帝国に勝利する新しい力を表していると言えます。「ローマの平和は永遠なり」は言われましたが、紀元62年、パルテヤ人と呼ばれる民族の騎兵隊がローマ軍に勝利しました。盤石を誇ったローマ帝国にほころびが生じて行きます。どんなに強大な力を誇る地上の権力もやがて滅びて行くことを現しています。また自然の災害、天変地異も起こりました。

 

2.仲間の僕である者たちの数が満ちるまで、なおしばらく静かに待つように

(1)3節「小羊が第2の封印を開いたとき、第2の生き物が『出て来い』と言うのを、わたしは聞いた。すると、火のような赤い別の馬が現れた。その馬に乗っている者には、地上から平和を奪い取って、殺し合いをさせる力が与えられた。また、この者には大きな剣が与えられた」。赤い馬の騎士は平和を奪い取り、戦争をもたらす力です。赤は血を象徴します。戦争は流血の惨事をもたらします。

 5節「小羊が第3の封印を開いたとき、第3の生き物が『出て来い』と言うのを、わたしは聞いた。そして見ていると、見よ、黒い馬が現れ、乗っている者は、手に秤を持っていた。わたしは、4つの生き物の間から出る声のようなものが、こういうのを聞いた。『小麦は1コイニクスで1デナリオン。大麦は3コイニクスで1デナリオン。オリーブ油とぶそう酒を損なうな』」。黒い馬の黒は飢饉の象徴です。黒い馬に乗った騎士は秤を持っていた。飢饉で食料が不足する中で、秤は食料を公平に分配する道具です。1コイニクスは1.1リットル。大人の一日の食料の量です。1デナリオンは1日分の賃金です。一日分の食料を一日の労働でようやく確保できる。「オリーブ油とぶどう酒を損なうな」。飢饉の時には食材を無駄にするな。

 7節「小羊が第4の封印を開いたとき、『出て来い』と言う第4の生き物の声を、わたしは聞いた。そして見ていると、見よ、青白い馬が現れ、乗っている者の名は『死』といい、これに陰府が従っていた。彼らには、地上の4分の1を支配し、剣と飢饉と死をもって、更に地上の野獣で人を滅ぼす権威が与えられた」。青白い馬に乗った騎士は死をもたらす。青白いは死者の顔とも言われます。死には陰府が従っていた。陰府に至る死。陰府は神の御手が及ばない場所。神から見放された絶望の死です。白い馬の騎士、赤い馬の騎士、黒い馬の騎士、青白い馬の騎士が、剣と飢饉と死をもたらし、地上の4分の1を支配する。更に、地上の野獣、様々な権力者が力をもって人を滅ぼそうとしている。

 

(2)9節「小羊が第5の封印を開いたとき、神の言葉と自分たちがたてた証しのために殺された人々の魂を、わたしは祭壇の下に見た。彼らは大声でこう叫んだ。『真実で聖なる主よ、いつまで裁きを行わず、地に住む者にわたしたちの血の復讐をなさらないのですか』」。第5の封印を開くと、神の言葉に生き、主キリストに従って、迫害を受け、殺され、殉教の死を遂げた者たちの魂が、天上の祭壇の下にあるのを伝道者ヨハネは見ました。祭壇の下は、礼拝において神に最も近い場所です。彼らは大声で叫んだ。「真実で聖なる主よ、いつまで裁きを行わず、わたしたちの血の復讐をなさらないのですか」。地上では神の言葉に生き、主キリストに従う者が、地上の権力者によって迫害を受け、殺されている。将に、不条理な現実がある。「真実で聖なる主よ、いつまで裁きを行わず、わたしたちの血の復讐をなさらないのですか」。歴史を生きる者の切実な叫びです。今日もこの叫びが世界にこだましています。

 創世記4章で、兄のカインが妬みの故に、弟アベルを殺した、人類最初の殺人事件が起こりました。「カインのための復讐が7倍なら、レメクのためには77倍」という復讐の歌が歌われ、やられたら7倍、77倍にしてやり返せという復讐の論理が世界を支配するようになりました。誰も歯止めを掛けることが出来ない悲惨な歴史となりました。ローマの信徒への手紙12章19節「愛する人たち、自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。『復讐はわたしのすること、わたしが復讐する』と主は言われる」。自分で復讐しても何の解決にもならない。却って、益々悲惨な状況に陥る。終わりの日の神の審きに委ねよ。この御言葉と響き合うのが11節です。「すると、その一人一人に白い衣が与えられ、また、自分たちと同じように殺されようとしている兄弟であり、仲間の僕である者たちの数が満ちるまで、なお、しばらく静かに待つようにと告げられた」。「白い衣」は7章14節「彼らは大きな苦難を通って来た者で、その衣を小羊の血で洗って白くしたのである」。「白い衣」は小羊キリストの血で洗われたキリストという衣であり、殉教者の衣です。なおしばらくローマ皇帝の迫害が続く。権力者の手によって迫害され、殺され、殉教する者が増える。しかし、なおしばらく静かに待とう。終わりの日の神の審きに委ねて、静かに祈りつつ待とう。自分で復讐するな。これは驚くべき御言葉です。

 

3.神と小羊の怒りの大いなる日が来た

(1)12節「また、見ていると、小羊が第6の封印を開いた。そのとき、大地震が起きて、太陽は毛の粗い布地のように暗くなり、月は全体が血のようになって、天の星は地上に落ちた。まるで、いちじくの青い実が、大風に揺さぶられて振り落とされるようだった。天は巻物が巻き取られるように消え去り、山も島も、みなその場所から移された。地上の王、高官、千人隊長、富める者、力ある者、また、奴隷も自由な身分の者もことごとく、洞穴や山の岩間に隠れ、山と岩に向かって、『わたしたちの上に覆いかぶさって、玉座に座っておられる方の顔と小羊の怒りから、わたしたちをかくまってくれ』と言った。神と小羊の怒りの大いなる日が来たからである。誰がそれに耐えられるであろうか」。終わりの日の天変地異、神と小羊の怒りの大いなる日が来た。「わたしたちの上に覆いかぶさって、玉座に座っておられる方の顔と小羊の怒りから、わたしたちをかくまってくれ」。この叫びはホセア書10章8節の御言葉です。

主イエスが十字架を背負ってゴルゴタへ向かわれた時にも語られました。ルカ福音書23章26節以下「人々は

イエスを引いて行く途中、田舎から出て来たシモンというキレネ人を捕まえて、十字架を背負わせ、イエスの後ろから運ばせた。民衆と嘆き悲しむ婦人たちが大きな群を成して、イエスに従った。イエスは婦人たちの方を振り向いて言われた。『エルサレムの娘たち、わたしのために泣くな。むしろ、自分と自分たちの子供たちのために泣け。人々が、『子を産めない女、産んだことのない胎、乳を飲ませたことのない乳房は幸いだ』と言う日が来る。そのとき、人々は山に向かっては、『我々の上に崩れ落ちてくれ』と言い、丘に向かっては、『我々を覆ってくれ』と言い始める。『生の木』さえこうされるのなら、『枯れ木』はいったいどうなるのだろうか』。主イエスの十字架の出来事は、終わりの日の審きの先取りです。私どもの不義が審かれ、神の義、真実が貫かれる。

 

(2)第二次世界大戦後、オランダのアムステルダムで、世界教会協議会が開かれた。カール・バルトが講演で、「人間の混乱の中に神の摂理が働く」と語られた。世界は人間の罪により混乱に陥っている。しかし、人間の混乱の中で、神の摂理の御手が働いていることを見よう。世界を始められ、世界に終わりをもたらすのは、「真実で聖なる主」であるからです。

 

4.御言葉から祈りへ 

(1)ブルームハルト『ゆうべの祈り』(加藤常昭訳) 11月29日の祈り ヨハネ14・12 

「主よ、われらの神よ、われらもあなたに呼びかけます。アッバ、愛しまつる父よ!と。聖霊がわれらを救い主イエス・キリストと、その福音へと、われらを駆りたてるからです。われらはみ国の中に立ち、あなたに呼びかけるのです。常にわれらを助けて強めてください。われらが今その中に立つ艱難の中にあって耐え忍ばせてください。み手をわれらの上に、互いに争うもろもろの民の上にとどまらせてください。み手は支配します。み心がすでに決したことを全うするのです。あなたがいっさいを整え、地上に平安をも与えてくださる時を、すぐに来たらせてください。われらはあらかじめみ名を賛美するのです。あなたはこのことをしてくださるからです。すぎにしてくださるからです。み国が来ることにちがいなく、み心は天に行なわれるごとく地にもかならず行なわれるのであり、すべてのことはあなたが決せられたように行なわれなければならないからです。アーメン」。

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