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2025年11月19日

「教会の伝道物語を黙想する37~主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます~」

使徒言行録16章16~40節

井ノ川勝

1.ヨーロッパ伝道の幕開け

(1)使徒言行録16章から、パウロとシラスの第二回伝道旅行が始まりました。自分たちが立てた伝道計画は、第一回伝道旅行で訪ね、生まれた教会の人々を励ますこと、更に範囲を拡げてアジア州の各地を伝道することでした。ところが、行く先々、ことごとく聖霊によって禁じられました。自分たちの伝道計画に挫折しました。行き着いた先が、アジア州の西の最先端のトロアスの港町でした。目の前はテーゲ海が広がり、道は行き止まりです。ところが、聖霊は幻を通して、新しい伝道の道を拓かれました。エーゲ海を越え、初めてヨーロッパ大陸での伝道の道が拓かれたのです。最初の町はマケドニア州の中心都市のフィリピでした。洗礼第一号は紫布を扱う商人リディアとその家族でした。リディアの家が伝道の拠点となりました。

 

(2)しかし、フィリピ伝道は順調には行きませんでした。伝道の壁にぶち当たりました。今日は16章16節以下からです。「私たちは」。16章10節から、人称代名詞が代わりました。「彼らは」から「私たちは」に代わっています。使徒言行録の作者は、マケドニア人のルカです。これまでは、パウロたちの伝道を外から眺めていたので、「彼らは」となっていました。しかし、パウロが伝道の挫折に直面していた夜に、幻の中に現れ、「マケドニア州に渡って来て、私たちを助けてください」と懇願したマケドニア人は、ルカでした。ヨーロッパ伝道に、ルカも加わったので、「私たちは」となりました。

 

2.牢に入れられ、足枷をはめられ

(1)16節「私たちは、祈りの場に行く途中、占いの霊に取りつかれている女奴隷に出会った」。パウロたちが向かった先は、「祈りの場」でした。川岸で、離散したユダヤ人たちが祈っていました。女性たちが中心でした。そこにリディアもいました。旧約聖書を共通の土台とする離散したユダヤ人伝道から、伝道の突破口を開こうとしました。パウロたちの伝道戦略でした。

 ところが、祈りの場に行く途中、占いの霊に取りつかれていた女奴隷に出会いました。キリストの福音は、魔術、呪術、占いと対決し、そこからの解放、自由をもたらします。「この女は、占いをして主人たちに多くの利益を得させていた」。女は占いにより、人々の心を捕らえ、商売をし、利益を得ていました。

 17節「彼女は、パウロや私たちの後ろに付いて来てこう叫ぶのであった。『この人たちは、いと高き神の僕で、皆さんに救いの道を宣べ伝えているのです』」。パウロたちの伝道に好意を寄せているわけではありません。むしろ大声を出して妨害しているのです。パウロたちが語るキリストの福音が人々の心を捕らえたら、占いという商売は利益が得られなくなるからです。

 18節「彼女がこんなことを幾日も繰り返すので、パウロはたまりかねて振り向き、その霊に言った。『イエス・キリストの名によって命じる。この女から出て行け』。すると、霊は即座に彼女から出て行った」。パウロたちの伝道の核心は、「イエス・キリストの名」です。「イエス・キリストの名」に、占いの霊を追い出し、解放する神の権威があるからです。

 

(2)19節「ところが、この女の主人たちは、金儲けの望みがなくなってしまったことを知り、パウロとシラスを捕らえ、広場の役員のところに引き立てて行った」。占いによって金儲けが出来なくなったら、生活が成り立たなくなります。占い女の主人たちはパウロとシラスを捕らえ、裁きの場所である広場の役人のところへ連れて行きました。

 20節「そして、二人を高官の前に引き出してこう言った。『この者たちはユダヤ人で、私たちの町を混乱させております。ローマ人である私たちが受け入れることも、行うことも許されない風習を宣伝しているのです』」。占い女の主人たちは高官に訴えます。この者たちはキリストの福音を宣伝することにより、平穏な町に混乱を引き起こし、町の風習を脅かそうとしている。

 22節「群衆も一緒になって二人を責めたてたので、高官たちは、二人の服を剥ぎ取り、鞭で打つよう命じた。そして、何度も鞭で打ってから二人を牢に入れ、看守に厳重に見張るように命じた。この命令を受けた看守は、二人をいちばん奥の牢に入れて、足には木の足枷をはめておいた」。聖霊によって新しい道が拓かれたヨーロッパ伝道も、直ぐに困難に直面します。牢に入れられ、足枷をはめられ、不自由な身となります。伝道者が牢に入れられ、足枷をはめられることは、福音が鎖に繋がれることでもあります。

 

3.主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます

(1)25節「真夜中頃、パウロとシラスが神への賛美の歌を歌って祈っていると、ほかの囚人たちはこれに聞き入っていた」。しかし、パウロとシラスは意気消沈しません。真夜中、暗い牢の中で、賛美の歌を歌い、祈りました。讃美歌こそ伝道の最たるものです。パウロはテモテへの手紙二2章9節でこう語りました。「この福音のために私は苦しみを受け、ついに犯罪人のように鎖につながれています。しかし、神の言葉はつながれていません」。たとえ伝道者が鎖に繋がれても、神の言葉は鎖に繋がれないのです。この御言葉は戦いの中にある教会の旌印となりました。

 26節「突然、大地震が起こり、牢の土台が揺れ動いた。たちまち牢の戸がみな開き、すべての囚人の鎖も外れてしまった」。パウロとシラスが讃美歌を歌っていると、神は驚くべき御業を起こされました。大地震が起こり、牢の土台が揺れ動き、牢の戸がみな開き、すべての囚人の鎖が外れました。

 27節「目を覚ました看守は、牢の戸が開いているのを見て、囚人たちが逃げてしまったと思い込み、剣を抜いて自殺しようとした」。看守は囚人たちが逃げてしまったと思い込み、責任を痛感し、剣で自殺しようとしました。

 28節「パウロは大声で叫んだ。『自害してはいけない。私たちは皆ここにいる』」。パウロは大声で、看守の自害をくい止めさせました。パウロたちは逃げずに、看守の前に立っていました。29節「看守は、明かりを持って来させ、駆け込んで来て、パウロとシラスの前に震えながらひれ伏し、二人を外へ連れ出して言った。『先生方、救われるためにはどうすべきでしょうか』」。看守がパウロとシラスと交わした問答が重要です。洗礼志願者の信仰問答となりました。「救われるためにはどうすべきでしょうか」。聖霊降臨の日、ペトロの説教を聴いた人々は心を打たれ問いました。「兄弟たち、私たちは何をすべきでしょうか」。

 

(2)31節「二人は言った。『主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます』」。「救われるためには何をすべきでしょうか」。看守の問いかけに、パウロとシラスは答えました。「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます」。注目すべきは、主イエスを信じることにより、あなただけでなく、あなたの家族も救われることです。最初の教会は個人の伝道の留まらず、家族伝道を目指していました。

 32節「そして、看守とその家族一同に主の言葉を語った」。パウロとシラスは看守だけでなく、その家族にも、主の言葉を語りました。33節「まだ真夜中であったが、看守は二人を連れて行って打ち傷を洗ってやり、自分も家族の者も皆すぐに洗礼を受けた」。真夜中の洗礼式です。看守も家族の者も皆、洗礼を受けました。ペトロはローマの隊長コルネリウスとその家族に洗礼を授けました。10章47~48節。パウロとシラスはフィリピで、リディアとその家族に洗礼を授けました。16章15節。個人の救いに留まらず、家族の救いが強調されています。

 34節「この後、二人を自分の家に案内して食事を出し、神を信じる者になったことを家族とともに喜んだ」。看守は家に、パウロとシラスを招き、家族と一緒に食事をしました。愛餐の食事であるとともに、聖餐の食卓に与ったとも言えます。コルネリウスもペトロを家に招き、週日間滞在させました。リディアもパウロとシラスを家に招き、泊まらせました。共に食卓に与りました。愛餐の食事であり、聖餐の食卓に与ったと言えます。

(3)35節以下。夜が明けると、高官たちはパウロとシラスを釈放しました。パウロとシラスがローマの市民権があることを知り、驚きました。裁判もかけずに公衆の面前で鞭打ったことを詫びました。高官たちはパウロとシラスに、町から出て行くよう頼みました。これ以上、騒ぎを引き起こされることを恐れたのでしょう。パウロとシラスはリディアの家に行きました。リディアの家がフィリピの教会の群れになっていました。パウロとシラスは教会の兄弟姉妹たちを励まして、フィリピの町から次の伝道の町を目指して、出発しました。

 

4.御言葉から祈りへ

(1)ブルームハルト『ゆうべの祈り』(加藤常昭訳) 11月19日の祈り コリント一1・27 

「主よ、われらの神よ、貧しくてしかも富める者として、弱くしてしかも強い者として、われらはみもとに来たり、祈り願います。われらの愛しまつる主にして救い主であるイエス・キリストにより、約束を果たしてください。天はひらけ、地は新しい光の中にはいり、あなたをたたえ、あなたに感謝し、みもとにあって永遠の安息と祝福を得る時を始めてください。きょうも困窮する多くの人々のことをおぼえてください。われらの祖国のことも、祖国のために働かなければならぬ人々のこともおぼえてください。これらの人々を祝福し、助けてください!主なる神よ、死なんとする人々も助けてください。みもとに至らせてください。彼らもあなたのものなのです。それゆえにあなたは助けてくださり、死からいのちをつくり、悲しみと困窮からよろこびをつくられるのです。愛しまつる在天の父よ、み名が崇められますように、み国が来ますように、み心が天に行なわれるごとく地にも行なわれますように。アーメン」。

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